【2023年も「地銀再編」が進むワケ】

今回は、【地方銀行の再編】にテーマを絞り掲載させて頂きます。

マイナス金利が長らく継続している現在の経済環境下におきまして

銀行の貸付金利息の増加が中長期的には見込めない他、地方におきましては人口減少が著しいことから、

地方銀行の顧客基盤は年々縮小しています。

2022年9月28日、八十二銀行と長野銀行の経営統合が発表され話題となりました。

また、静岡銀行と名古屋銀行の「静岡・名古屋アライアンス」のような、隣接県の地銀同士で包括的業務提携(アライアンス)を結ぶ動きも活発になっている。

さらには、持ち株会社の設立、地域商社や電力子会社の設立など、非金融ビジネスの強化に力を入れる地銀も増えてきています。

合従連衡や多角化により、地銀の規模が大きくなり体力が強化されれば地域経済が活性化し、不動産市場にもプラスになりそうです。

 

八十二銀行・長野銀行が経営統合へ

2022年9月、長野県の八十二銀行と長野銀行が経営統合を目指すことで基本合意しました。

八十二銀行が長野銀行を2023年6月に完全子会社化し、

さらにその2年後の2025年を目途に合併する予定である。

長野県で圧倒的なシェアを誇る八十二銀行が、第二地銀の長野銀行と統合し、経営基盤をより強固にする狙いがある。

しかしながら、裏を返せば、県内のライバル行同士が競争している場合ではなく、大手優良地銀でさえ、

人口減少や低金利が続くなか、経営環境が厳しさを増しているともいえます。

このように、同一県内の地銀同士で再編を進める動きは相次いでいます。

2020年10月には福井銀行と福邦銀行が経営統合、また2022年4月には、青森銀行とみちのく銀行が持ち株会社「プロクレアホールディングス(プロクレアHD)」を設立しています。

さらに同年10月には愛知銀行と中京銀行が持ち株会社「あいちフィナンシャルグループ(あいちFG)」を設立し、2024年には

合併を予定しています。

また2022年11月には、地銀最大手のふくおかFGが、

同じ福岡県内の福岡中央銀行を完全子会社化する(2023年10月予定)と発表しています。

現在、地銀・第二地銀あわせて99行が存在するが、

すでに、都道府県内に地銀が1行しかないところもあります。埼玉県、山梨県、石川県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県、鳥取県の8府県であります。

この先、上述した青森県や長野県が加わることで、「地銀一県一行」時代がさらに進むことになります。

(※マリブジャパン、カンパニーレポート参照)

一方で、福岡県には地銀が5行、静岡県には4行ある。

また岩手県、山形県、福島県、東京都、千葉県、愛知県、富山県、沖縄県の8都県には地銀が3行あります。

こうした地域を中心に、引続き再編圧力が高まる方向に向かっていくと思います。

 

2023年も地銀再編は進む

 

日銀による低金利政策が続き、人口減少やデジタル化も進む中、地銀の3大ビジネスである「貸出」「手数料」「有価証券運用」の見通しは明るくない現状です。

中小企業の「ゼロゼロ融資」利払い遅延による不良債権化や、このところ問題となっている「仕組債」などの金融商品販売の減少、加えて米国金利上昇による有価証券運用益の減少など、足元も難題ばかりであります。

特に、規模の経済が働かない資産規模1兆円以下の地銀や、

コア業務純益(本業収支から、経費と一時的な変動要因を引いたもの)が10億円未満の地銀は、

この先、今までと同じビジネスモデル、同じ商品・サービスラインナップで生き残れる可能性は低くなってきています。

単独での生き残りが困難となっている現在、苦境を打破するには、店舗や人員のリストラを実施したうえで、

規模の経済を得るための合従連衡という選択肢が有力となるはずである。

政府や金融当局が地銀再編を後押しする法律や制度を整えるなか、地銀の選択肢は狭まっており、2023年も合従連衡がメインシナリオとなる事でしょう。

最終的に多くの地銀が規模の経済を享受するこの選択を選ぶことになろう。

 

まとめ

人口減少と低金利環境、デジタル化に加え、政府・金融当局による地銀再編を後押しする動きがあるなか、

地銀の合従連衡やアライアンス、非金融ビジネスの拡大などはこの先も進むことになると思います。

とはいえ、この先も貸出が地銀ビジネスの中心であることは変わらないと思います。

個人向けのアパートローンや不動産向けローンも同様です。

不動産向けローンは、中小企業向けローン以上に厚い利ざやを享受できることもあり、積極的に伸ばしたい分野であります。

合従連衡により資産規模が拡大し、自己資本が分厚くなることで経営そのものが安定すれば、

その分、積極的にリスクを取って貸出を行うこともできるようになります。

そう考えれば、地銀再編やアライアンス、多角化が進むことは、不動産向けローンにとっても悪い話ではないと思います。

今後も、金融機関の動向や最新情報を発信させて頂ければと思います。

 

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