【インボイス制度が不動産投資に与える影響】

インボイス制度が不動産投資に与える影響

 

 

インボイス制度は、消費税の納付額の計算において、売上げた際に預かった消費税額から支払った消費税額を控除する条件に関するものです。

適格請求書が発行されるかどうかは、支払った消費税額を控除できるかどうかにつながるため、消費税の納付額に与える影響は大きいといえます。

それでは、不動産投資にはどのような影響を与えることが考えられるのでしょうか。

 

 

■インボイス制度とは?

インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」と言われ、税務署に登録した課税事業者が発行できる「適格請求書(インボイス)」を保存することが、消費税額の計算において支払った消費税額を控除する条件となる制度です。

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、税務署に登録した、「適格請求書発行事業者」に限られます。「適格請求書発行事業者」となるには、消費税の課税事業者である必要があります。

インボイス制度は、令和5年10月1日から導入されることが決定しており、

適格請求書発行事業者の登録申請は、令和3年10月1日から始まっています。

 

インボイス制度が不動産投資に与える影響とは

 

■居住用賃貸物件のオーナーはほぼ影響ない

住宅の貸付けは消費税の非課税取引であることから、居住用賃貸物件にかかる賃料については、入居者側の消費税申告の際、納付額の計算において、控除できることはありません。

入居者が、消費税の課税事業者であったとしても同様に取り扱われます。

このように、居住用賃貸物件のオーナーは、基本的に消費税の申告・納付に関わらない取引をおこなっており、インボイス制度はほぼ影響ないといえます。

 

■事業用物件を購入した場合、消費税還付を受けられないことがある

消費税の納付額は、課税売上にかかる消費税額から課税仕入れ等にかかる消費税額を控除することで計算されます。

免税売上が多く課税売上が少なかったり、あるいは、高額な設備投資をおこない課税仕入れ等が多かったりした場合、課税仕入れ等にかかる消費税額が課税売上にかかる消費税額を上回ることになります。

このようなケースでは、消費税の納付額計算において、控除不足税額が生じ、

その分に相当する還付金を受け取ることが可能です。

事業用物件のオーナーは、その事業用物件が高額であることから、

購入時にその物件購入にかかる課税仕入れ等の税額につき控除不足税額が生じ、

消費税還付を受けることができます。

しかし、インボイス制度が導入されると、事業用物件の売主が

「適格請求書発行事業者」でない場合には、消費税の納付額計算において、

事業用物件の購入にかかる課税仕入れ等の税額を控除することができず、消費税還付を受けられないことになります。

 

まとめ

インボイス制度は、消費税の納付額の計算において、売上げた際に預かった消費税額から支払った消費税額を控除する条件に関するものです。

「適格請求書(インボイス)」が発行されるかどうかは、支払った消費税額を控除できるかどうかにつながるため、消費税の納付額に与える影響は大きいといえます。

マンションやアパートなどの居住用物件のオーナーにとってインボイス制度の導入の影響は限定的です。一方、事業用物件のオーナーにとっては、入居者側の消費税申告の際、納付額の計算において賃料にかかる消費税額を控除できなくなり、退去や賃料減額請求の要因となる可能性があります。

オーナー側の対策としては、消費税の免税事業者であっても、課税事業者を選択して「適格請求書発行事業者」となり、賃料につき「適格請求書(インボイス)」を発行する方法や、入居者の消費税負担増加分の賃料を減額する方法があります。

インボイス制度を導入したオーナーでは、収益性が下落する可能性がありますが、

簡易課税制度を選択することが有効な場合があります。インボイス制度には、経過措置も設けられており、実際に影響が生じるのは段階的であるため、その段階を見据えて、しかるべき対策を講じることを検討してみましょう。

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